生酛・山廃、無濾過生原酒とは?日本酒のラベル表示をやさしく解説

生酛・山廃、無濾過生原酒とは?日本酒のラベル表示をやさしく解説

「純米酒」「吟醸酒」「大吟醸酒」といった分類は精米歩合や原料によるものですが、日本酒のラベルにはこれとは別の軸で表示される「生酛」「山廃」「無濾過生原酒」という言葉もあります。なんか難しそうだし、日本酒初心者は選ばない方が無難かな?と思ってしまいがちですが、知っておくとお酒選びがぐっと楽しくなるので、今回はこうした表示の意味を整理してみます。ちなみに私もラベルにこれ書いてあると、よくわからないのでちょっと躊躇してしまってました・・。

(なお、純米・吟醸・大吟醸といった基本の分類については、別記事でご紹介していますので、よろしければあわせてご覧ください。)

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純米・本醸造・吟醸・大吟醸の違いをやさしく解説

生酛(きもと)造り

生酛造りは、酒造りの土台となる「酒母」を、自然の乳酸菌の力を借りて昔ながらの手作業で育てる製法です。手間も時間もかかりますが、その分どっしりとした旨味とコク、複雑な味わいが生まれやすいのが特徴です。

江戸時代から続く伝統的な手法で、近年あらためて注目されている造り方でもあります。「山卸し」と呼ばれる、酒母を櫂(かい)ですり潰す重労働の工程を含むため、現在この製法を採用している蔵元は限られています。手間がかかる分、生酛造りのお酒には蔵の技術力や姿勢が表れやすいともいわれています。

山廃(やまはい)仕込み

山廃仕込みは、生酛造りの一部の工程(山卸し)を省略しつつ、同じく自然の乳酸菌を活用して酒母を育てる製法です。生酛と同様に、酸味や旨味がしっかりとした、骨太な味わいになりやすい傾向があります。

「山卸廃止酛(やまおろしはいしもと)」の略で、明治時代に山卸しの工程を省略しても品質に問題がないことが分かったことから生まれた製法です。生酛より手間が少ない分、比較的多くの蔵元で採用されています。

生酛と山廃、何が違うの?

どちらも自然の乳酸菌を活用する「昔ながらの製法」という点は共通していますが、山卸しという重労働の工程を行うかどうかが大きな違いです。味わいの傾向としても近いものが多く、ラベルだけでは飲み比べてもはっきり区別がつきにくいこともあります。

どちらも、「速醸(そくじょう)」と呼ばれる現代的な製法(人工的に乳酸を添加する方法)に比べて、発酵にかかる時間が長く、その分味わいに奥行きや複雑さが出やすいのが特徴です。「酸がしっかりしていて骨太な日本酒が好き」という方は、ラベルに生酛や山廃の表記があるものを選んでみると好みに合うものが見つかるかもしれません。

無濾過生原酒とは

無濾過生原酒は、3つの要素が組み合わさった表示です。

  • 無濾過:通常行う「濾過(色や雑味を取り除く工程)」を行っていない
  • :出荷前の「火入れ(加熱殺菌)」を行っていない
  • 原酒:水を加えて度数を調整する「加水」を行っていない

この3つすべてを満たしたお酒が「無濾過生原酒」です。搾りたてそのままに近い、フレッシュで力強い味わいが楽しめるのが魅力です。アルコール度数も高めになりやすいので、その点は購入時に意識しておくとよいかもしれません。

なお、これらの要素は単独で表示されることもあります。「生酒」だけ、「原酒」だけといった表示も見かけますので、組み合わせによって意味合いが変わる点を覚えておくと、ラベルがより読み解きやすくなります。

「生」の表示があるお酒は、加熱殺菌を行っていない分、温度変化の影響を受けやすいという特徴もあります。購入後はできるだけ冷蔵で保管し、早めに飲みきるのがおすすめです。フレッシュさが持ち味のタイプなので、開栓後の状態の変化も楽しみながら飲み進めてみてください。

まとめると

  • 生酛・山廃:昔ながらの製法による、旨味やコクのある骨太な味わい
  • 無濾過生原酒:濾過・火入れ・加水をしていない、フレッシュで力強い味わい

これらは「純米」「吟醸」といった分類とは別の軸の表示なので、組み合わせて「純米生酛無濾過生原酒」のような表示になることもあります。両方の軸を知っておくと、ラベルの情報をより深く読み解けるようになります。

選び方のヒント

  • どっしりとした骨太な味わいを試したい → 生酛・山廃
  • 搾りたてのフレッシュさを楽しみたい → 無濾過生原酒
  • 両方の個性を楽しみたい → 生酛系×無濾過生原酒の組み合わせ
  • 保存方法も気になる方 → 「生」表記のあるものは冷蔵保管・早めの飲みきりを意識

私はどちらかというと純米酒・特別純米酒の食中酒として楽しむことが多いので、生酛系より穏やかな味わいを選ぶことが多いです。ラベルの表示を知っておくと、お店や酒屋さんでの選び方の幅がぐっと広がります。気になる表示を見かけたら、ぜひ手に取ってみてください。